警視庁物語 ウラ付け捜査

堀雄二・南広/神田隆、花沢徳衛、山本隣一、大木史郎、須藤健、井川比佐志、今井健二、八代万智子、沢村貞子、潮健児、藤山竜一、小林裕子、岸輝子、

カテゴリー: タグ: , ,

説明

ケイシチョウモノガタリ ウラヅケソウサ/脚本:長谷川公之。音楽:菊池俊輔。監督:佐藤肇。警視庁物語シリーズ第20作。監督は佐藤肇なのでホラーっぽい演出。置場に拘留中の男(井川比佐志)が悪夢にうなされ迷宮入りの事件の犯人だと自白したと、捜査一課に連絡。オートレース場の裏の古井戸から扼殺された女性の腐乱死体が発見されたのだが、捜査は行き詰まり、打ち切りになっていた。男は無銭飲食で浅草警察署に留置されていた。捜査一課は聴取をとるため、浅草警察署に向かった。男は取り調べで死体の付けていた下着には見覚えがなく、頭部にあった古傷も知らなかった。男は被害者の名前はユキといい、彼女に盗品を質屋に持って行かせたことがあるという。捜査員たちは裏付けをとるため質屋さらに被害者の故郷である新潟の小千谷に飛んだ。「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」という憲法38条2項の条文を守って、迷宮入り殺人事件を自白した男のウラ付け捜査をする捜査陣を描く。8ヶ月中断していたシリーズの再開第1作。本シリーズの成功によって、テレビや他社映画会社が追随して同じような刑事ものを作り始め、その第一人者である長谷川公之がテレビにも駆り出され、多忙を極めたためではないかと思われる。実際、長谷川は本作の直前には、『警視庁物語』の影響下に作られて評判を呼んだテレビ刑事ドラマシリーズ『七人の刑事』を松竹が映画にした『七人の刑事』(1963年、大槻義一監督)に脚本を提供している。そのためか本作の原案になったのは、前作『19号埋立地』に続いて、長谷川がすでにテレビ『刑事物語』の第5・6回『過去からの声』として書き下ろした脚本を劇場用に脚色し直したもの。佐藤監督は、「私は一読して、“夢枕に立つ女にウナされる容疑者”という設定と、“古井戸をのぞき、殺した女の名を呼びつづける犯人”という、この映画のラスト・シーンに強く心を引きつけられた」(「佐藤肇回想録 恍惚と不安」、私家版、1988年)との事。ロケは西多摩オートレース場、浅草、世田谷警察署など。1963年2月10日~16日第一東映、併映大川橋藏「いれずみ半太郎」。