儀式

佐藤慶/小山明子、乙羽信子、河原崎健三、中村敦夫、賀来敦子、渡辺文雄、小沢栄太郎、殿山泰司、小松方正、戸浦六宏

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説明

ギシキ/脚本:田村孟、佐々木守、大島渚 音楽:武満徹  監督:大島渚  ATG創立10周年記念作品。敗戦によっても揺らぐことのなかった家長制度に縛られて生きていくことを強いられた、戦後世代の若者たちの悲劇を描いた意欲作。個人が家に組み込まれ支配されるさまを、冠婚葬祭の儀式になぞらえて描き出す。混迷と動乱に満ちた昭和の時代と日本人の心情を探りながら、大島渚監督が戦後25年を総括する意味を込めた作品。すでに海外では評価の高かった大島監督の、国内での評価を不動にした傑作として名高い。第45回キネマ旬報ベストテン第1位。家父長制度の頂点に君臨するのが佐藤慶。バケモノ的な権力を持ち、女たちを犯し孕ませ放題の性欲の持ち主。親族が集まる葬式と結婚式などの儀式だけを舞台にしながら、愛憎まみれる親族の複雑な人間関係を描く。大島渚映画は、いつも死とセックスが大きなテーマ。登場人物の多くが死ぬ。自殺や心中も多い。そして歌が歌われる。この映画でも共産党員の叔父・小松方正の結婚式の宴席で、いろんな歌合戦が始まる。軍歌やインターナショナル、寮歌や馬賊の歌、芸者ワルツ、戦友・・・。歌はそれぞれの人生の背景を映し出す。佐藤慶も賀来敦子も小山明子も儀式では眉がなく、能面のようで不気味なイメージ。気の弱い桜田満洲男(河原崎健三)が主人公。祖父の直系の息子でありながら、後継ぎのライバルである従兄弟の輝道(中村敦夫)に能力は劣り、満州男は桜田家の呪縛から逃れるように野球に夢中になる。子供の頃、満州男が投げ、輝道がキャッチャーでボールを受け、律子(賀来敦子)が打つ野球遊びをする。節子(小山明子)が審判だ。無邪気で幸福な子供時代の思い出が最初と最後に出てくる。一臣の勧めで決められた女性と結婚することになる満州男だったが、その結婚相手が式当日にいなくなる。政財界の大切な客たちが大勢来るというので、花嫁不在のまま満州男の結婚披露宴が行なわれるという儀式が展開。花嫁不在のお色直し。警察官になった叔父の進(渡辺文雄)の息子(土屋清)は、右翼テロ青年のように披露宴会場で叫び、その後事故死。その葬儀で、枕を相手に「真の日本女性」だと言って初夜を演じて見せる満州男。一臣にも抱きつき、払いのけられ、今度は棺から遺体を出して自分が棺に入る。狂ったような満州男の支離滅裂な行動に、律子も棺に入り慰めるのだが、輝道は律子とつないだ手を離し、桜田家を出ていく。やがて一臣が死に、その盛大な葬儀の喪主を務める満州男。ヘトヘトに疲れ果てて桜田家の重圧に息が詰まり、土に埋められるという妄想に苦しむ。それは満州で生き埋めにされ置きざリにしてきた赤子の弟を思い出してのこと。満州男を律子が「可哀相な人」と慰める。満州男と律子が輝道が暮らしていた南の島に着くと、輝道は遺書を残して裸で死んでいた。遺書には祖父一臣の死亡記事とともに、「真に桜田家を継ぐものは僕だけだ。僕は自らを殺すことによって、ここに桜田家を滅ぼす」と。律子は輝道の死体のそばに寄り添って、自ら死を選ぶ。家父長的な桜田家を葬るために、孫の代の者たちが自らの肉体の死をもって決着を付ける。それは戦前から続く呪われた共同幻想。1971年9月4日~14日豊橋松竹、併映「白昼の通り魔」「黒の斜面」。【サイズ:B2ポスター】【年代:1971年】