砂の器

丹波哲郎・加藤剛/森田健作、島田陽子、山口果林、加藤嘉、佐分利信、緒形拳、渥美清、笠智衆

説明

スナノウツワ/原作:松本清張。脚本:橋本忍・山田洋次。音楽:芥川也斗志。撮影:川又昴。監督:野村芳太郎。国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見される。被害者の身許が分らず、捜査は難航。事件を担当した警視庁刑事・今西(丹波哲郎)と西蒲田署刑事・吉村(森田健作)は地道な聞き込みの結果、事件前夜、被害者と酒を飲んでいた若い男の存在に行き当たる。今西と吉村の2人は東北なまりの“カメダ”という言葉を数少ない手掛かりに、男の行方を追う。しかし2人の執念の捜査もなかなか実を結ばず、犯人へと繋がる有力な情報は得られない日々が続いた。いよいよ迷宮入りかと思われたとき、小さな新聞記事がきっかけとなって、捜査は急展開。この作品は運命は変えられるが、宿命は変えられない。親と子の絆もまた宿命であり、いくら断ち切ろうとしても、それは果たせない。『砂の器』はそのことを訴え得た名作として今なお讃えられ続けているがなぜ、あのような善人が殺されなければならなかったのか? いや、善人だから殺されたのだ。彼は息子と父親にしかわからない絆の中に無理やり侵入しようとする邪魔者であり、とどのつまりは究極の「小さな親切、大きなお世話」がもたらした殺意の実践であった。『砂の器』は時に人情が悲劇を招くという闇の面まで描出している。ある殺人事件を発端に、捜査と犯罪者の動静を描く長編小説であり清張作品の中でも特に著名な一つ。ハンセン氏病を物語の背景としたことでも知られ、大きな話題。ミステリーとして、方言(東北訛りと「カメダ」という言葉が事件の手がかりとなる)設定が重要な鍵となるのが名作たる所以。松竹で1回、テレビで7回のドラマ化される程時代と共に愛される作品といえる。壮大な自然と過酷な運命を素晴らしい撮影と音楽で日本の厳しい自然を映し出す。加藤嘉の一世一代の名演。子役の眼力が印象的で丹波哲郎・緒方拳・渥美清など役者も素晴らしい。1974年11月23日~12月27日豊橋松竹、併映「宇宙人は地球にいた」。1975年6月28日~7月4日豊橋松竹、併映「カルメン故郷へ帰る」リバイバル。1975年11月15日~28日豊橋松竹、併映「同胞」。1976年9月14日~22日豊橋松竹、併映「影の車」「懐かしの映画歌謡史」。1977年2月5日~25日豊橋松竹、併映「張り込み」リバイバル。2015年第14回とよはしまちなかスロータウン映画祭で上映。【サイズ:B2】【年代:1974年】