説明
カリウド/脚本・監督:テオ・アンゲロプロス。音楽・撮影:ヨルゴス・アルヴァンティス。1976年の大晦日から元日にかけての24時間を徹底したワンシーン・ワンカットで描き、過去の内戦によって死んだ兵士の遺体を発見した6人の〈狩人〉とその妻たちの回想からギリシャ戦後史を掘り起こしてゆく大作。6人が狩りの最中に雪原で死体を発見する。死体は1949年の内戦で死んだ若い兵士のもので、死んだばかりのようにまだ温かい。6人は死体を「栄光館」に運び込み、憲兵隊を呼ぶ。憲兵による取り調べの中で男たちとその妻たちが過去を回想する。その回想によって男たちが左派の弾圧、選挙の不正などに関わり、体制側につくことによって地位を得、金を儲けてきたことが明らかになっていく。「栄光館」に大勢の招待客が集まって年越しのパーティーが盛大に開かれるが、「ホタルの光」の曲に乗って踊っているうちに招待客はみな消え、6人の男たちとその妻たちだけが残される。6人の男たちが雪原に兵士の死体を運び、雪に埋めて去って行く。「旅芸人の記録」の1シーン・1カットの手法をアンゲロプロス監督がさらに推し進め、繰り返す愚かな歴史の姿を全編わずか47カットで描いた“現代史3部作”の第3作。完成当時はまだ「旅芸人の記録」1本しか紹介されていなかった日本では、あまりの斬新さに公開までに10年以上を要した作品。172分。1992年11月14日公開だが豊橋での上映は未調査。【サイズ:B2ポスター】【年代:1992年】