説明
トウチャンノポーガキコエル/原作:松本則子。脚本:笠原良三。音楽:早川正昭。監督:石田勝心。現代の医学では治療の方法すら発見されていない、筋肉が萎縮してしまうハンチントン舞踊病という病気と戦いながら、ベットの中で綴った松本則子という一少女の詩集『父ちゃんのポーが聞こえる』の映画化。死に直面しながらも、けなげに生きようとする少女の心理を描く感動作。鉄道員の父が小林桂樹、母親に司葉子が扮して主人公には吉沢京子。則子のカルテには、ハンチントン舞踏病と記入され、則子のような重症患者のための治療設備がないために、人里離れた越山療養所に移る。則子は隆におんぶされ、想い出を胸につめるように機関車を見て歩いた。さみしいがらんとした療養所の個室で、隆が線香花火を則子に見せている。花火が散ると、則子の目から涙があふれ、家に帰りたいと泣き叫ぶ。返す言葉のない隆はやっとの思いで「これから週二回、療養所の下を通るたびに必ず汽笛で合図を送る、それが父ちゃんの挨拶だと思っておくれ」と説得する。則子は不自由な左手でせっせと詩を書き綴った。ポーッ・ポッ・ポーッ!/汽笛がこだまする/空に小さく消えてゆく/朝五時五十分ちょうど/父だ/父のひいている列車が療養所の下を走っているのだ/ポーッ/胸の奥でひそかに、則子も声のない汽笛をあげる。やがて父の運転する蒸気機関車にダンプが突っ込んで事故、ポーが鳴らなかった日に娘は亡くなる。1971年10月16日~29日豊橋丸物東宝、併映「潮騒」。【サイズ:立看板】【年代:1971年】