説明
ヤギュウブゲイチョウ カタメノニンジャ/脚本 高田宏治。殺陣 谷俊夫。監督 松村昌治。シリーズ第八作。幕府がイスパニアから輸入した新式銃を船で運搬中、襲われて奪われる事件が発生。紀州藩家老と九鬼水軍が組んでの強奪だったが叛乱を防ぐために柳生一門が動く物語。柳生武芸帳「忍の巻」で全国に散る隠密64名を呼び寄せて敵の本拠地海神砦に向かい砦を攻める。この攻防戦が壮絶で集団時代劇の真骨頂、爆破して生き残るのは十兵衛只一人。東千代之介が紀州藩家老岩倉刑部で悪のインテリ元締めに扮して対抗する。柳生一門が揃い深編笠で揃って出掛ける場面がゾクゾク感溢れて格好良い。1963年田原市の伊良湖岬でロケ実績で海神砦の一部として撮影された。柳生但馬守に珍しく堀正夫、松平伊豆守に北竜二、九鬼水軍に高松錦之助と二本柳寛、九鬼水軍の若者が松方弘樹、恋人に当時売り出しの御影京子、紀州公に二枚目時代の林真一郎 姫には藤純子、柳生門弟には吉田義夫・徳大寺伸・有川正治など。砦を落とされ武器弾薬が吹っ飛んで追いつめられた千代之介は近衛と対決することなく崖から飛び降りる。生き残ったのは十兵衛と若い忍者の2人のみで十兵衛は「手向けの言葉はない、これで忍の巻の使命は終わった」と言って立ち去る。まるで戦時中の特攻精神の如くの描写だが、作り手には逆のメッセージとみる。つまり戦後18年経過した「もはや戦後ではない」時代に1963年に製作されて、戦時中の死は無駄死にであり生き残った若者達に日本社会の行方を案じている様子として理解出来る。千代之介配下には楠本健二、加藤浩で何度見ても面白い傑作で「柳生魂」の姿。千代之介著作本によると、226事件の青年将校の気持ちになって演じたと記載があった。1963年12月21日〜31日豊橋東映、併映「わんわん忠臣蔵」。1964年4月22日〜28日銀座東映、併映「図太い奴」。1964年7月26日〜28日南東映、併映「花の講道館」【サイズ:B2】【年代:1963】