説明
ニホンキョウカクデン ハナトリュウ/原作:火野葦平。脚本:棚田吾郎。殺陣:日尾孝司。監督:マキノ雅弘。健さん主演の「日本侠客伝」シリーズ第9作で初の原作映画化。お馴染み玉井金五郎とマンの物語をラブストーリー風に描きながら任侠映画の見せ場をしっかり見せるマキノ節が冴える。藤純子の刺青師お京と星由里子のマンが良い出来でラストは純子&健さんが黒田節での立回りで悪ボス伊崎組天津敏と小松方正を葬る。竜と菊の花の刺青が生えて菊の花アップで映画は終わる。玉井の戦友太田新之助を演ずる二谷英明が日活から東映初出演。山本麟一と三島ゆり子の夫婦でマンが山本の妹という設定。三島ゆり子が足が不自由な役だが好演。若山富三郎がゲスト出演して博徒の大親分吉田磯吉役。高橋とよが女親分島村おぎん。若松で二谷と星と高倉の三角関係から二谷が相手方の天津方にヤクザ客分となり、玉井はゴンゾウ連合の小頭として人足待遇の改善を求めて対立する。親方の水島道太郎と山本隣一が天津の闇討ちに合い、戸板に乗った山燐を見ての三島ゆり子の演技が上手い。罠と知りつつ天津の誘いで死地へ単身出向く高倉に星が晴れ着の糸を抜く場面で赤ん坊が出来た報告をして健さんが「女の子が生まれるなら母ちゃんみたいな優しい女に生まれて欲しい、一緒にブラジル行こう」と泣かせるマキノ節。ラストの遠賀川で船を漕ぎながら天津の招きに出向くときに流れる健さんの唄「遠賀川土手行きゃ雁が泣く~喧嘩博奕に明け暮れてゴンゾウ稼業と呼ばれていても~胸に抱いた夢ひとつ」がグッと来る。星由里子は意外?に拾い物の好演で気丈な女を演じて高倉健と以降「新網走番外地」シリーズで3本共演するが対する藤純子の刺青師が誠に艶やかで華。彫り物をするときに龍が花を咥える絵を依頼。オープニングは襖が開いてクレジットで龍の襖が出て監督マキノ雅弘。黒田節を純子が歌いながら健さんの槍での立ち回りは正に見せ場。健さんは長身なので槍が似合う。1969年5月31日〜6月13日豊橋東映、併映「現代やくざ与太者仁義」。1969年9月10日〜16日松竹シネマ、併映「代紋地獄の盃」【サイズ:B2】【年代:1969】