斬る

市川雷蔵/天知茂、藤村志保、渚まゆみ、万里昌代、柳永二郎、成田純一郎、丹羽又三郎、稲葉義男、千葉敏郎、毛利郁子、伊達三郎、浅野進治郎、細川俊夫

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説明

キル/原作:柴田錬三郎。脚本:新藤兼人。殺陣:宮内昌平。監督:三隅研次。虚無的な剣士を演じる端正な振舞の市川雷蔵の好演が目立つ佳作。不遇な境遇の剣士が江戸千葉道場の推挙で大目付松平大炊守(柳永二郎)に仕える。水戸藩の罠に掛かった大目付を助けて戦うが大目付は斬られ追い腹をして果てる。主人公高倉信吾に市川雷蔵。信吾の生涯に影響を与えた3人の女性が母親 藤村志保・妹 渚まゆみ・旅で出会う姉弟 万里昌代、父親には天知茂。密度の濃いドラマで71分、三隅監督のシャープさは2年後に「眠狂四郎無頼剣」で雷蔵と天知によって描かれる。冒頭藤村志保の顔アップで「国の為お部屋様のお命申し受けまする」といって刃傷、そして打首になり介錯をするのが藤村の恋人であり、雷蔵の父・母である。小諸藩主細川俊夫に請われ浅野進治郎が育ての親として天知・藤村の子供雷蔵を育てる、20年以上経過して大人になって3年の修行から戻った雷蔵を待っていたのが御前試合、勝抜き試合の相手は三田村元で試合に勝つ。審判は原聖四郎。浅野の同輩稲葉義男が城中で信吾の不義の子として出生話をしているところを信吾が聞いてしまうところから悲劇が始まる。城中で稲葉を問い詰めた浅野に対して藩主細川は稲葉をとがめ、稲葉は浅野と妹を不意打ちして斬って脱藩、雷蔵が稲葉親子を斬って旅へ出る。そして雷蔵は父親であり僧になった天知を訪ねる。天知から一人の寂しさや死んだ母、愛情の事を聞いて雷蔵は江戸へ向かう。道中で出会うのが万里昌代と成田純一郎姉弟とのエピソード。甲府勤番での仇討ち因縁で姉を預かったものの、弟の危機を姉が裸になって追手の前に立ちはだかる。その姿を垣間見た雷蔵のショック。藤村・渚・万里と3人の女性を通じて雷蔵の虚無感が増幅する過程が良くできている。水戸藩へ出掛ける途中の浪士に襲われる場面では、雷蔵が12人斬りを鮮やかに見せる。1962年7月14日〜20日丸物会館、併映「黒の試走車」。1965年6月5日〜11日豊橋大映、併映「座頭市物語」【サイズ:プレス四つ切】【年代:1962】