説明
フジニタツカゲ/原作:白井喬二「富士に立つ影」。脚本:小川正。音楽:山田栄一。監督:佐々木康。大正13年(1924年)7月~昭和2年にかけて新聞に連載されて人気を得た壮大な親子3代にわたる時代劇ロマンの映画化。大衆文学の代表作として戦前1942年(昭和17年)に大映で阪東妻三郎主演で映画化。二度目の映画化であるこの作品では、幕府が富士裾野に訓練用の城建設に際して、築城家赤針流熊木伯典(進藤英太郎)と賛四流佐藤菊太郎(市川右太衛門)に軍師地位を掛けた大問答を中心に勧善懲悪時代劇として展開。熊木の奸計により坑道を爆破されて右太衛門が生き埋めになり熊木が勝利、熊木は強権で村々の人々を虐待、佐藤の味方をした者(山形勲、北大路欣也、桜町弘子、渡辺篤)を懲罰にして悪政を強行。一方で洞窟に閉じ込めえられた右太衛門を庶民(堺駿二や長谷川裕見子達)が協力して救助する。また正義派医者大河内傅次郎や名主伊東亮英・有馬宏治などが斬首。悪役陣に進藤英太郎以下阿部九州男、市川小太夫、三條雅也、小田部通麿。新人だった里見浩太郎が百姓役で出演。ラストは築城に対して生贄で生き埋めになろうとする長谷川裕見子を助けて右太衛門・北大路親子がチャンバラで進藤を斬り、築城は未完成として物語は終る。小説では江戸時代から明治まで熊木・佐藤の各家の親子3代の大河ロマンが富士の裾野を舞台に展開するがそこは東映時代劇なので右太衛門主演だから故のパターンとなっている。オープニングが「荒磯の波」になり東映マークが白色でなくカラーになっていて、東映スコープ総天然色、イーストマン東映カラーとしての大作感。104分。1957年10月28日~11月4日豊橋第一東映、併映「哀愁のリンゴ園」。1958年2月26日~3月4日銀座東映、併映「ゆうれい船後編」。【サイズ:A4チラシ】【年代:1957年】