説明
ヨウエンドクフデン ヒトキリオカツ/原案:高橋猛。脚本:高田宏治。音楽:河辺公一。殺陣:日尾孝司。監督:中川信夫。主題歌:宮園純子「白刃恋歌」。宮園純子毒婦シリーズ第二弾はベテラン中川信夫監督がメガホン、前作がヒットしてこの作品からカラーとなるパターンは東映流。甲源一刀流真壁道場主の長女お勝(宮園純子)は、出世の妨げと武芸に厳しい実直な父親(西村晃)を拷問死、いかさま博奕に騙された弟(近藤正臣)と恋人を匿う依頼をした漁師夫婦(曽根晴美と沢淑子)に謀殺され賀川雪江を売り飛ばされて、更にお勝に横恋慕して妾にしようとする代官塩崎(今井健二)に陵辱されて復讐を誓うまでが前半の45分。武家娘の清純イメージから凌辱されてからの化粧が変わり復習の鬼となるイメージ。代官所でヤクザたちを皆殺しにしたお勝は甲府勤番から賞金首となり、遊郭で賀川を助けて曽根夫婦を斬って「人斬りお勝」と仇名されて賞金20両。江戸へ戻り南町奉行となった仇の旗本(今井健二)と裏切った師範代(山岡徹也)を御用提灯に追われながらも狙う。遊郭の俯瞰セットアングルが素晴らしい。中川演出は手堅く観客を楽しませるし、殺陣は目をつぶるにしても宮園の男装姿を含めてなかなか良いし時代劇らしさがまだ残る。任侠映画全盛時に女性主人公を売り出す企画は、藤純子の「緋牡丹博徒」シリーズと宮園主演の毒婦路線。このあと「お勝兇状旅」「おんな刺客卍」と続いて終了した。今井健二の配下に目明し:富田仲次郎、役人:杉義一で江戸では山岡徹也を使って押し込み強盗や殺人を犯して、お勝に罪を着せて捕縛の口実にする。江戸へ出たお勝は山岡道場へ出向き山岡を斬る。そして役人との立ち回り。若山富三郎が賞金稼ぎでゲスト出演、宮園にかかった賞金を狙って追うが、仇討ちを知って陰ながら助けての儲け役で殺陣の見せ場をしっかり見せる。若山は8月に文字通り「賞金稼ぎ 薩摩の首」に主演してシリーズ化。三島ゆり子が今井の妾で出演、ラストお白洲での殺陣では今井・三島・宮園の構図が印象的で仇討ち。大信田礼子が北町奉行の手先で宮園を助ける役どころ。改めて女優の殺陣は、美空ひばりが一番で藤純子が続くイメージ。藤純子の華には及ばないが宮園なりに頑張った感。1969年4月10日〜18日豊橋東映、併映「緋牡丹博徒 二代目襲名」【サイズ:B2】【年代:1968】