説明
ヨウエンドクフデン オカツキョウジョウタビ/脚本:高田宏治・山本英明。音楽:河辺公一。殺陣:日尾孝司。監督:中川信夫。宮園純子の妖艶毒婦伝シリーズ第三弾、主題歌:宮園純子「白刃恋唄」。天保12年、上州沼田藩の実直な納戸役 真壁主計(河野秋武)は上司の田代十太夫(伊藤久哉)の密造品売買と民百姓殺りくに対して諫言する。逆に真壁夫妻と娘のお勝は甲源一刀流道場主の名和宏・悪徳商人島田屋安部徹などに騙され捕縛された上拷問、囚人たちに真壁夫人を犯させ夫婦ともに死に至る。ここの場面までが割合長い演出で20分。悪の証拠を持つ真壁の娘で甲源一刀流免許皆伝の娘の真壁勝(宮園純子)が伊藤久哉に凌辱され、元沼田藩剣術指南の梅宮辰夫浪人に助けられて両親の仇と復讐を果たす物語。オープニングショットの俯瞰撮影からの導入が秀逸。お勝の許嫁 北上弥太朗が出世の為に買収されて、お勝の所持する証拠を奪取する為にお勝を狙う。エロとチャンバラの活劇で新東宝イメージそのままの東映女剣劇チャンバラ。宮園純子は清純派と復讐に燃える役を熱演で場面ごとに眉毛などで表情を演出。元新東宝の二枚目伊達正三郎も太った悪役、伊藤久哉の家来である沼田曜一も相変わらずの個性で凄みのある悪役。宮園の殺陣も上手く演出されている。最初は道場内で名和との勝負、次が牢内で両親を救うべく対決、次は沼田曜一達に襲われた矢場、4回目は湯治場から山での北上弥太朗・鈴木晟哉との立ち回りで撃たれて、梅宮が助ける。5回目は山寺での集団殺陣、6回目は田代屋敷での男装でのクライマックス殺陣。梅宮辰夫は元沼田藩剣術指南役で名和とはライバルだった設定で、右手だけの立ち回りが目立ち剣客イメージは遠い。名和VS梅宮の対決を見ると、梅宮の役が若山富三郎だったら名和とのチャンバラがもっと違うものになったと感じる。沢淑子が前作に続いての出演で北上弥太朗の情婦で矢場女将悪女役で上手い、大信田礼子は梅宮の弟子だが何の為の出演かよくわからない。花柳幻舟が沼田藩家老の奥方で伊藤久哉の不倫相手で濡れ場、ラストは丘上で伊藤と花柳を斬首台下の池に斬り捨てる。真壁家再興を捨ててお勝は一人旅へ出て主題歌が被って「終」。中川信夫監督の邦画メジャーで最後の演出作品となった。東映東京撮影所の時代劇。84分。1969年10月1日〜14日豊橋東映、併映「緋牡丹博徒 鉄火場列伝」【サイズ:B2】【年代:1969】