説明
テンゴクトジゴク/原作:エド・マクベイン。脚本:黒澤明、菊島隆三、小国英雄、久坂栄二郎。音楽:佐藤勝。監督:黒澤明。サスペンス映画の傑作。身代金誘拐事件を通して貧富の階級的対立や社会矛盾に対する反抗と一人の人間に対する責任など大きな社会テーマを投げかける。東海道本線で特急「こだま」から7センチだけ空く隙間から身代金3千万円入りカバンを大井川鉄橋から投げ下ろす場面や横浜での貧民街から見上げる丘の豪邸とかラストの煙だけカラーになる場面など名シーンばかり。黒澤明監督の映画化理由として2点。「徹底的に細部にこだわった推理映画を作ってみよう」と「当時の誘拐罪に対する刑の軽さ」(未成年者略取誘拐罪で3ヶ月以上5年以下の懲役〈刑法第224条〉、営利略取誘拐罪で1年以上10年以下の懲役〈刑法第225条〉)に対する憤り」との事。実際この作品が公開された1963年には「吉伸ちゃん身代金誘拐殺人事件」が発生した。1964年の刑法一部改正(「身代金目的の略取(無期または3年以上の懲役)」を追加)のきっかけになった作品でもある。東海道本線と江の島電鉄が重要な役割を果たした鉄道物としても一級。運転手に扮した佐田豊は一世一代の名演技。映画は大ヒットして1962年度邦画興収ベストテン第1位1963年3月21日〜4月9日豊橋東宝、併映「クレージー作戦先手必勝」。1963年7月10日〜16日銀座東映、併映「いつでも夢を」。1963年9月24日〜28日豊橋東宝、併映「椿三十郎」。1966年11月16日〜22日松竹シネマ、併映「新事件記者 大都会の罠」。1969年2月15日〜28日丸物東宝、併映「椿三十郎」。1973年6月23日〜7月3日豊橋東宝、併映「椿三十郎」「悪い奴ほどよく眠る」。1977年9月28日〜10月14日豊橋東宝【サイズ:B2 77R】【年代:1963】