大アマゾンの半魚人

リチャード・カールソン/ジュリア・アダムス、リチャード・デニング、アントニオ・モレノ、ベン・チャップマン

説明

ダイアマゾンノハンギョジン/原案:モーリス・ジム。脚本:ハリー・エセックス、アーサー・A・ロス。音楽:ヘンリー・マンシーニ、ハンス・サルタ―。監督:ジャック・アーノルド。SF怪奇映画のユニヴァーサルが、ドラキュラやフランケンシュタインのようなゴシック・モンスターに代わるオリジナルのモンスター物として製作した作品。アマゾン川で水掻きのついた手形の化石が発見された。早速、現地に赴く調査隊だったが、彼らの前に姿を現したのは半魚人だった。捕獲を試みる調査隊をよそに、半魚人は一行の中の女性ケイをさらって逃げる。「キングコング」と同様に半魚人と人間の攻防を描いたモンスターパニックの色も濃く、物語はSFに変えれば殆ど『エイリアン』である。こちらでは宇宙空間の代わりにアマゾン川が舞台となるが、モノクロに切り取られた水中の映像は幻夢的で美しい。その水の中を優雅に泳ぐ半魚人は単なるモンスターではないことを観客に訴える。モンスターと人間の悲恋というテーマは『キングコング』ほどに成功してはいないように見えるが、半魚人とヒロインの水中での浮遊ダンスはまるで交尾を思わせるかのように扇状的だ。そこには半魚人の単なる片思い以上のものを感じる。ギレルモ・デル・トロが『シェイプ・オブ・ウォーター』を撮ったのも納得。人間と半魚人の一進一退の攻防は単純明快な面白さがあるが、同時に文明社会の暴力という批評的な一面もあるのが本作のいいところ。とくに半魚人を炙り出すために水中に毒薬を撒くというシーンにそれが現れている。川に毒薬がゆっくりと落ちていくカットもいいが、ヒロインが何気なくタバコの吸殻を川に落とすショットが、次に毒薬によって魚が浮かび上がった川の映像に切り替わるモンタージュが素晴らしい。平和な自然を犯すのは常に人間側。1954年7月7日~13日豊橋第一東映、併映「若者よ恋をしろ」「弥次喜多高野山詣りの巻」。【サイズ:B5 パンフレット表紙&中面】【年代:1954年】