仁義なき戦い 広島死闘篇

菅原文太/北大路欣也、千葉真一、梶芽衣子、木村俊恵、中村英子、金子信雄、成田三樹夫、山城新伍、名和宏、小池朝雄、遠藤辰雄、加藤嘉、室田日出男、志賀勝、八名信夫、中村錦司、小松方正、北村英三、汐路章、国一太郎、堀正夫

説明

ジンギナキタタカイ ヒロシマシトウヘン/原作:飯干晃一。企画:日下部五朗。脚本:笠原和夫。撮影:吉田貞次。音楽:津島利章。監督:深作欣二。前作「仁義なき戦い」の大ヒットを受けてすぐに続編が製作される。“広島やくざ戦争”を語る上で外せない終戦直後の現代やくざ・愚連隊の発祥期に起こった広島市内の抗争をもとに映画化。1952年朝鮮動乱の好景気に沸く広島を舞台に、安月給の工員生活でくすぶる兵隊帰りの若者・山中正治(北大路欣也)がやくざの世界に入って殺人マシンと化し、仁義など微塵もない組長の裏切りにより自滅してゆく様をリアルな死闘シーンを織り込みながら描いてゆく。広能昌三(菅原文太)を脇に据えたシリーズ番外編とも呼べる作品である。一方で戦争未亡人の梶芽衣子とのロマンスも描かれて千葉真一扮する大友勝利を山中と対照的な殺人マシンとして描いて集団群像劇を二人にスポットを当てた展開。キャッチ「見せる生の暴力!組長の野望の陰で荒みきった若者が殺人マシンと化す。広島を知で染めた衝撃の第二弾!」。逸話として大友役は当初北大路欣也が、山中に千葉真一が配役されていて撮影直前に交替したエピソード。当時の千葉真一はブロマイド売上げが4年連続No.1であり、大友勝利の言動は「オメコの汁でメシ食うとるんで」など過激なものばかりであった。そのため千葉は悩みながら「これまで良いと思ったものを全て捨てる」という姿勢で、サングラスを常時掛けて眼を隠し、唇を裏返しにして糊付けするなど、役柄にふさわしい演技・扮装を工夫した。映画の後半に「山中に銃口を向けられるシーンでは、慌てふためきダンボールで自分の顔を隠すように掲げる」という台本にないアドリブをやった。「相手に自分の顔が見えると撃たれてしまう」と人間のとった、とっさのバカげた行動が、よりリアリティを生んだ瞬間だった。千葉は「こういうのは役者冥利に尽きる」、「大友を演じたことにより、悪役にも興味を持ち始めた。私の中で大きな転機となった」と語る。北大路欣也は第一部を仕事先で観て共鳴。シリーズ化の決定を知り、自ら出演を直訴したものの上述の通り当初の配役された役を拒み、東映幹部に仲介させ、千葉真一と配役を交換した。北大路が千葉とのキャスト入れ換えを要求したのはこれが初めてでなく、1963年「海軍」に続いて2度目、北大路は戦前からの大スターで東映の役員を兼務していた市川右太衛門の御曹司であることから、東映は北大路の意向を幾度となく受け入れてきた背景がある。ポスター序列は文太・千葉・梶芽衣子と続いて北大路はトメ。1973年4月28日~5月11日著橋東映、併映「狂走セックス族」。【サイズ:B2】【年代:1973年】