仁義なき戦い

菅原文太/松方弘樹、梅宮辰夫、金子信雄、木村俊恵、中村英子、渚まゆみ、伊吹吾郎、三上真一郎、川地民夫、田中邦衛、曽根晴美、渡瀬恒彦、高宮敬二、名和宏、川谷拓三、遠藤辰雄、林彰太郎、志賀勝、内田朝雄、ナレーター:小池朝雄

説明

ジンギナキタタカイ/原作:飯干晃一 週刊サンケイ。製作:俊藤浩滋・日下部五朗。脚本:笠原和夫。音楽:津島利章。撮影:吉田貞次。技斗:上野隆三。監督:深作欣二。約10年間映画界を引っ張った東映任侠映画から実録路線に切り替わる起爆剤となった広島やくざ抗争を描いた集団群像劇の大ヒット作。やくざ同士の抗争を題材にしながら仲間を裏切り、裏切られることでしか生きられない若者たちが描かれている。これまでの義理人情に厚く正しい任侠道を歩むヒーローが任侠映画。その中で1969年(昭和44年)から始まる菅原文太主演の「現代やくざ」シリーズで現実的なワルを主人公にした作品が製作されてきたが、この映画の特色としては大きく3点の特徴がある。①従来の様式美をまったく無視して殺伐とした暴力描写を展開させた ②ヤクザを現実的に暴力団としてとらえた ③ 手記→実話小説→脚本→映画という経緯を経て、実在のヤクザの抗争を実録物としてリアリティを追求した点である。この作品での登場人物は概ね金にがめつく、弱者に強い社会悪としての姿が描かれており、仁侠映画のようなヤクザを美化することはない。一時的に英雄的に表現されるキャラクターも最後には無残に殺される場面が多い。本作は優れた群集活劇でもあり、暗黒社会の一戦後史でもあり、青春映画であり、自己啓発としての側面もあり、基本的に娯楽映画として描かれることで登場人物のヤクザを魅力的な存在であるかのように描いており、犯罪者を美化しているとする批判もつきまとう。「仁義なき戦い」の成功は深作欣二のダイナミックな演出、斬新な手持ちカメラによる撮影、絶頂期に向かう役者たちの演技、実録ならではのリアリティ、原爆投下された終戦直後の広島・呉という舞台設定、戦国時代の下克上や国盗り的なスリル など、多くの複合要因から成り立ち、それらの幸福な出会いともいえる。一番の功績は原作にはない膨大な資料を掻き集めてシナリオにまとめた笠原和夫の巧みな脚本、個性溢れる広島弁の応酬、珠玉の名セリフの数々によるところが大きい。シリーズ化され5本製作、更には「新仁義なき戦い」も3本シリーズされて実録ブームは1977年「北陸代理戦争」で4年間で終わる。しかしながら公開当時は健さんや鶴田・若山などの任侠映画にどっぷりはまったフアンとしては、映画のエネルギーは感じつつもこの映画の良さを認めるのは後年からになったのである。1973年1月13日~2月2日豊橋東映、併映「女番長スケバン」。1974年10月26日~11月1日豊橋東映、「仁義なき戦い」5部作一挙上映大会。1976年10月23日~29日豊橋東映、「仁義なき戦い」5部作一挙上映。【サイズ:B2 2種類&パンフレット】【年代:1973年】