説明
ミラノノコイビト/原作・脚本:ウーゴ・ピッロ。音楽:カルロ・ルスティケッリ。監督:築地・コメンティー二。ジュリアーノ・ジェンマ主演。ミラノの町工場を舞台に、企業の利潤追求で公害犠牲になってひき裂かれた痛ましい男女の愛を描く物語。監督は「天使の詩」のルイジ・コメンチーニ。ヌッロ(ジュリアーノ・ジェンマ)が、同じ工場に働くカルメラ(ステファニア・サンドレッリ)と知り合った。終業後、カルメラを見かけたヌッロは、彼女をアパートまで送っていった。ヌッロに送られて古びたアパートの前に立ちどまったカルメラは、突然脅えたようにあたりを見廻した。“シチリア人の女は、よそ者の男と絶対つき合ってはならない。もしそんな男が現れたら俺が殺してやる”。常にこういっている兄パスクワーレ(ブリツィオ・モンティナーロ)の言葉を、思い出したのだ。カルメラの心には、ヌッロへの愛がつのればつのるほど、兄の言葉が強迫観念となる。ヌッロは家族にカルメラと結婚することを告げる。数日後、カルメラが勤務中、突然倒れた。もしやこの工場のガスが……。事実工場では病人があいついだ。彼の予感は的中。一通の手紙がヌッロに届いた。「明日、故郷に帰ります カルメラ」。驚いたヌッロは駅に走った。ホームにカルメラが淋しげに列車を待っていた。その夜、二人はうらぶれた安ホテルのベットで無言で向き合った。ヌッロは自分たちの愛を許そうとせぬシチリア人のあまりの無知な観念を怒り、カルメラは彼を愛しながらも老いた父母、弟たち、そして兄さえも見棄てるわけにはいかない運命に涙した。その日以来、彼女の姿は工場から消えた。やっとのことで再会すると、カルメラの病状は進み、立ち上ることも出来ない状態でアパートの隅に横たわっていた。ヌッロは彼女を花嫁としてやさしく毛布に包むと自分の家に向かった。駆けつけた市長の前で二人は結婚式を挙げる。式が終わると、やがてカルメラは永遠の眠りについた。工場の広場には労働者たちのシュプレヒコールが響いていた。「殺人者は誰だ!」、工場の社長が現れるとヌッロは拳銃の引き金を弾く。アクションを封印したジェンマの好演。1976年6月19日~7月2日広小路スカラ座、併映「逢い引き」。【サイズ:B2ポスター】【念d内:1976年】