説明
アレクサンダーダイオウ/脚本・監督:テオ・アンゲロプロス。音楽:クリストドゥロス・ハラリス。古代ギリシアの英雄(解放者としての)伝説を下敷きに、その名を騙る20世紀初頭に暗躍した盗賊の頭の、義賊としての行動と、追いつめられての蛮行を歴史絵巻的に描く長編。208分。カラースタンダード。1980年ヴェネチア映画祭グランプリ、昭和56年度芸術祭大賞。孤島の刑務所を脱獄した一行(19世紀最後の夜)は、ポセイドンの神殿で20世紀の日の出を眺める英国貴族たちを誘拐、自分たちの恩赦、英国による炭鉱採掘に反対する農民らの土地所有権の承認を求めたが、政府は身代金は払うがその他の要求は呑めないというも。彼らは途中5人のイタリア人アナーキストを加え、自分らの生まれ故郷である北部の村に向かう。そこは“先生”と呼ばれる指導者の下、既に共産化していた。“大王”の部下たちは私有財産の認められないことに不平をこぼし、示威行為に羊を何頭か殺す。政府軍に村が包囲されたこともあって、村民は彼らに嫌悪感を示し始めた。地主は土地返却に応じたが、これに陰謀の匂いを嗅ぐ先生。戻った土地を以後どうするかで揉める村民。共産制はあえなく挫折。逃亡を図るイタリア人たちも殺された。大王は形式的な裁判に応じて特赦となる道を選んだが、検事を殺し、自分も暗殺されかけたことに激怒し、遂に人質までも手に掛ける。裁判の取材に答える形で明らかになる大王の過去、その回想の場面が鮮烈である。悠然とたゆたう映画に、まさにギリシア悲劇的な展開。1982年3月30日公開だが豊橋での公開実績は未調査。【サイズ:B5チラシ】【年代:1982年】