説明
シロバンバ/原作:井上靖。脚本:木下恵介。音楽:斎藤高順。監督:滝沢英輔。原作者井上靖の自伝的小説の映画化。舞台設定は大正五年あたりの伊豆の山(天城湯ヶ島)、馬車の車輪も木製なら、窓枠もアルミではなく木製で全国的に広葉樹伐採時代の最中だった時代。子供たちが素っ裸で川遊びするシーンも現れる。曾祖父の妾役であるおぬい婆さんを老け役の代表格・北林谷栄が演じる。北林氏は当時51歳、初井言榮もチョイ役で登場したが、当時未だ33歳。主人公の洪作少年にライスカレーを作って食わせるシーンが二度あったが、ライスカレー。洪作の実父は豊橋第15連隊の軍医で芦田伸介が演じていた。その妻に渡辺美佐子。ここが地元ネタといわれる所以で、井上靖が豊橋で食べた黄色いゼリーが絶品でとても美味しかったと言っている。このゼリーが豊橋市札木町の和菓子老舗店若松園のゼリーだった。 軍都豊橋ならではのエピソードで若松園では黄色いゼリーを商品化したほど。主人公の叔母を演じる芦川いづみに、主人公の洪作(井上靖)が憧れに似た淡い恋心を抱く。四世代にも積もる親族の血縁と、田舎の因習とが絡み合い、婚前妊娠と結核によって消えてゆく叔母さき子の悲劇を、幼いながらに吞み込もうとする洪作。映画のラストで、伊豆のトンネルを目にしようと行軍する少年の一団が服を脱いで素っ裸になって進むシーンがあったが、先生でもあったさき子を亡くしたその悲しみを振り払うことの象徴に思える。「しろばんば」とは雪虫を指す。本作『しろばんば』を経て井上靖の自伝的小説は『夏草冬濤』『北の海』(「七帝柔道記」にも登場する)へと続く。1962年12月2日~11日広小路日活会館、併映「愛と死のかたみ」。【サイズ:B2ポスター】【年代:1962年】




