説明
オヤクシャブンシチトリモノゴヨミ クモノスヤシキ/原作:横溝正史。脚本:比佐芳武。美術:井川徳道。音楽:鈴木静一。監督:沢島忠。中村錦之助主演。歌舞伎役者「播磨屋」一家総出演の歌舞伎スリラーサスペンス捕物映画。奥州勝田藩6万石での20年前に発生した土蜘蛛党伝説に関連する腰元誘拐事件を皮切りに発生した連続殺人事件に対して、役者を勘当された文七(中村錦之助)が謎を解く。蜘蛛の巣屋敷とは勝田藩上屋敷。錦之助は浪人や按摩など変化をしながら真犯人を追う展開に町奉行の片岡千恵蔵御大と与力池田大助中村賀津雄が助けて特別出演して賑やかな顔ぶれ。錦之助の父の名女形である三代目中村時蔵十八番「女暫」が見られる貴重な映像、時蔵はこの作品公開(4月)後の7月に逝去したので遺作。東映で最大のステージに山村座のセットと客席を組んで所作台を京都南座から借りて本物を再現して撮影したと沢島忠監督の話(沢島忠全仕事より)、まさにシネマスコープ画面一杯に広がる歌舞伎を再現。その父親が奈落で播磨屋の若党(団徳麿・星十郎)の手引きで土蜘蛛悪党(吉田義夫)に斬られ負傷、その若党たちも勝田藩士に殺される。こうして文七は変装して内偵をすることになる。山形勲は正義派大目付水野、進藤英太郎が悪徳商人、勝田家の照姫に雪代敬子、一味腰元に喜多川千鶴、中臈に日高澄子、藩乗っ取りを企てる勝田藩江戸家老に薄田研二。隈取りした土蜘蛛の精には播磨屋をクビになった元役者(徳大寺伸)たちが悪の手先となって勝田藩の照姫を脅し、中村芝雀を罠にはめて照姫殺しをなすりつける。大岡越前と文七の共同捜査で陰謀を暴く。ドラマはスピーディで歌舞伎はたっぷりの脇役が豪華で錦之助魅力。明るく楽しい東映映画の好きな1本。リアルタイムで銀座東映にて観賞。1959年4月1日〜7日第一東映、併映「少年探偵団 敵は原子潜航艇」。1959年8月26日〜9月1日銀座東映、併映「鞍馬天狗」「風小僧 狐火屋敷」。1960年4月8日〜11日南東映、併映「恋愛自由型」【サイズ:中吊り&近代映画表紙】【年代:1959】