黒田騒動1956

片岡千恵蔵/大友柳太朗、薄田研二、高千穂ひづる、三浦光子、中原ひとみ、吉田義夫、清川荘司、片岡栄二郎、高堂國典、荒木忍、南原伸二、原健策、高松錦之助、香川良介、大邦一公、堀正夫、青柳竜太郎、

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説明

クロダソウドウ/原作:北条秀司。脚本:高岩肇。音楽:小杉太一郎。監督:内田吐夢。「血槍富士」に続く片岡千恵蔵&内田吐夢監督のコンビ作品。伊達騒動・加賀騒動と共に「江戸時代三大家騒」として知られる「黒田騒動」を描いた作品。取り潰されても文句が言えない所業を重ねる馬鹿殿の暴走から藩を救うべく知恵を絞る国家老:栗山大膳(片岡千恵蔵)の権謀算術が冴える様子を緊迫感と理知性が全編を貫いている知能戦。黒田藩主先代(高堂国典)の遺言「長男は短慮だから切腹させる」決意を取りやめさせた家老(片岡千恵蔵)が、父親亡き後、跡目を継ぐと暴走を始めた若殿(片岡栄二郎)によって窮地に立たされた藩を救うべく、藩中の若殿推進派勢力(足軽出身の成上がり家老:南原伸二)&外様大名を潰そうと狙っている幕府公儀の両勢力を敵に廻して、「不利証拠&権力は相手が上」な状況で、権謀算術を駆使して活路を開いていく知的サスペンスで、絶体絶命な状況を逆手に取った秘策に膝を打つ名脚本が光る。公儀大目付役の大友柳太郎も好敵手を好演、殿に見染められ奥に上がる女性:高千穂ひづるが切支丹、前半に高千穂が踊る「黒田節の舞の女性版」も見せ場の一つ。祭礼場面のスケールや実物大の船を創って炎上させるなどモブ舞踏シーンの壮麗な迫力や忍びvs忍びの戦いでは内田監督の演出手腕の見事さが随所に冴える。栗山大膳の長崎勤番の留守中、片岡栄二郎殿様は切支丹信徒のお秀の方(高千穂ひづる)の懇望で、禁制の軍船建造に着手、賦金の倍額取り立て、作業員の使役、強制寄附など領民に怨嗟の声が昂まる。幕府は大目付竹中妥女正(大友柳太朗)を実情調査に差し向けるが、千恵蔵は途中で足止めさせ、腹心に命じて軍船を焼き払う。激怒した殿様が千恵蔵家老に足軽200名と鉄砲の討手を向けるや、主家を救うため、千恵蔵家老栗山大膳は幕府に殿様を訴える手段に出る。江戸城中に殿様、南原家老らと対決した千恵蔵は、奸臣らの罪状をあばいて、殿様に謀叛の意志のないことを力説した末、切支丹信徒からお秀の方にあてた重大密書を大友柳太朗大目付から老中に提出。かくて切支丹や豊臣残党決起の気配を憂い、黒田藩にはお咎めなしとして、筑前から福岡五十二万石に国替えとなり南原は遠島、主家に汚名をきせた罪で、栗山大膳は家名断絶を申し南部信濃守に家族ともどもお預けと申し渡された。片岡千恵蔵の子ども植木元晴・千恵兄妹が出演の他高松錦之助が千恵蔵配下、原健策が千恵蔵配下の忍者、堀正夫が千恵蔵の友人で黒田藩重臣、青柳竜太郎が重臣。老中達には薄田研二、香川良介、大邦一公、吉田義夫。クレジットの始まりが拍子木でエンドも同じ。108分。1956年1月8日~13日豊橋第一東映、併映「忍術佐源太」。1956年10月23日~29日豊橋銀座東映、併映「あばれ振袖」。【サイズ:B4キネマ旬報グラビア&スチール・新聞評論】【年代:1956年】