説明
ハクオウキ/原作:五味康佑。脚本:伊藤大輔。音楽:斎藤一郎。助監督:井上昭。殺陣:宮内昌平。監督:森一生。五味康祐の同名小説を「ジャン・有馬の襲撃」の伊藤大輔脚本で「若き日の信長」の森一生が監督。高田馬場の決闘から吉良邸討ち入りまでの赤穂浪士の物語を背景に、一人の剣豪が悲劇に巻き込まれていく姿と堀部安兵衛との友情と因縁を描く忠臣蔵外伝。数ある市川雷蔵作品157本の中でも傑作の誉れ高い一本。物語は吉良邸討ち入りに向かう堀部安兵衛の回想から始まる。丹下典膳(市川雷蔵)は高田馬場での決闘へ向かう途中の中山安兵衛(勝新太郎)と出会う。安兵衛の相手が自分と同門の知心流と知りその場を離れる典膳だったが、同門を見捨てたとして師匠から破門を言い渡される。典膳は千春(真城千都勢)という女性と結ばれるが、留守中に知心流の門弟五人(伊沢一郎・千葉敏郎他)により千春が陵辱される。五人組に復讐するため、典膳は浪人となり千春と離別し、千春の兄に右腕を斬られ片腕を失う。安兵衛は主人である浅野内匠頭の仇討ちのため吉良邸への討ち入りを計画。一方、典膳は吉良家に迎え入れられていた。やがて12月の雪の降る夜に、戸板に乗った片腕・片足となった典膳と5人組を含む10数人との壮絶な戦いが繰り広げられる。この殺陣場面が俯瞰撮影を使用してすこぶる良い。ラストシーンで雷蔵が見せる片腕のない典膳が片足を撃たれ寝たまま転がり刀を振るうという三段剣法の立ち回りは、五味の原作ではなく伊藤の脚本によるものである。この殺陣は、伊藤が隻腕である典膳の片足を鉄砲で撃ち抜く描写を書いたことから考え出されたとされる。典膳を助ける為に安兵衛が乗り込んできて残りを斬る。妻も短筒で撃たれ、斬られて瀕死の雷蔵に近寄り手を取りながら二人とも死ぬ、夫婦雛がアップになる。そして安兵衛は吉良邸に仇討ちの為討入する場面で雷蔵の魅力となる虚無感を最初に表現した意欲作で1961年「大菩薩峠」シリーズでの机竜之介、1962年~1963年「剣」「剣に賭ける」「剣鬼」の「剣」シリーズと「眠狂四郎」シリーズへと続く。1969年雷蔵逝去により松方弘樹が大映に出向して最初に撮ったのがリメイク「秘剣破り」で本郷功次郎と共演した。市川雷蔵作品のリバイバル公開では繰り返し上映されていて、2025年5月にNHKBSP4Kでデジタル修復版が放映された。千坂兵部:香川良介、堀部弥兵衛:荒木忍。1959年12月13日~22日丸物会館、併映「闇を横切れ」。1960年5月1日~5日千歳劇場、併映「三羽烏三代記」。【サイズ:B5 時代映画広告】【年代:1959年】