座頭市牢破り

勝新太郎/三国連太郎、西村晃、浜田ゆう子、細川俊之、鈴木瑞穂、藤岡琢也、遠藤辰雄、酒井修、玉川良一、京唄子、鳳啓助、古川録九、早川雄三、守田学哉、伊達三郎

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説明

ザトウイチロウヤブリ/原作:子母沢寛。脚本:中島丈博、松本孝二、猿若清方。音楽:池野成。主題歌:大映レコード 勝新太郎。監督:山本薩夫。勝新太郎の座頭市シリーズ第16作は勝プロ第一回作品。監督山本薩夫なので百姓目線の物語が柱。大映マークの後に勝プロ第1回作品とタイトルが出て「座頭市牢破り」。95分。民百姓の味方だと思っていた親分三国連太郎が実は二足の草鞋を履いて座頭市との約束を果たさずにいて、戻った座頭市が百姓の味方となって怒りの仕込みで三国の首を跳ねる。鈴木瑞穂が大原幽学的な存在を示して農民の味方。座頭市シリーズ3回目の宮川一夫の撮影。序盤から登場する刀を持たない侍・大原秋穂(鈴木瑞穂)、百姓に稲作収穫のイロハを教えている姿が山本薩夫らしい。その大原がやがて農民の心をとらえ、いなくてはならない存在となってゆく。新たに十手預かりとなった朝五郎(三國連太郎)の手によって、謀反の疑いありとして囚われの身になる。尊皇派という疑いだったが、彼は自然主義者で基本は非暴力。この作品の面白さは、善と悪が環境次第で移り変わるものだという点。三國演ずる朝五郎も最初はたとえ博打ですった者であろうが百姓のために出す金を惜しまず、座頭市も思わず惚れこんで任侠道に活路を見出したりする。市が悪親分富蔵(遠藤辰雄)を斬った後、半年くらいで豹変する。市にしても富蔵に雇われた百姓を斬ってしまったり、片腕を切られた仁三郎(細川俊之)の恋人・志乃(浜田ゆう子)も女郎に貶められたりと、人は常に変わってゆく様を描く。もっとも訴えたいのが、権力者に近づいてしまうと、その権力におぼれるということだろう。皮肉なことに捕縛になった非暴力の大原が暴力的な市に助けられる、そして助けられて西村晃扮する悪徳役人や朝五郎一味を斬って助けられた大原が座頭市に「市さん、大地を血で汚してしまったな」と言う。座頭市は虚しく旅に出る。三國連太郎はこの頃から咳をするのが上手かった。後年「座頭市御用旅」で再び三國が悪徳親分として座頭市と対峙。セカンド上映の松竹シネマでリアルタイムで観賞したのは高校1年の秋。1967年8月12日〜26日豊橋大映、併映「若親分凶状旅」。1967年10月21日豊橋大映、併映「女賭場荒らし」。1968年2月14日〜20日松竹シネマ、併映「血斗」【サイズ:B2】【年代:1967】