説明
サンギョウスパイ/脚本:野上龍雄。音楽:八木正生。技闘:土井淳之介。監督:工藤栄一。全盛の任侠路線から外れていた工藤栄一監督が「夜」シリーズの梅宮辰夫の新機軸を狙ったスパイアクション。当時は梶山季之企業小説がブームで便乗企画。企業の使命を征する技術戦争の渦中にあって、堅固極まる巨大企業からの機密奪取と産業スパイ同士の抜きつ抜かれつの激烈な競争をドキュメンタリータッチで描く。キャッチ「バネのような強靱な肉体と剃刀のような頭脳」。サイケ調とジャズのクレジットで音楽は八木正生カルテット。一匹狼の産業スパイ木暮(梅宮辰夫)がライバルスパイ沢田(渡辺文雄)と巨額の報酬を掛けて駆け引きする展開、羽島建設(石山健二郎)こそ木暮が沢田に対抗するために選んだ会社。日進建設社長の椅子を会長荒木(佐々木孝丸)と密約した沢田。一億円の報酬を羽島建設と契約した木暮。両者の落札価格探索戦は沢田にとって優勢に展開した。日進建設社長並木(中村錦司)を羽島建設の常務として迎える条件で、落札価格を通報させること。沢田とファッションモデルのアンナの情事を、スキャンダル事件に発展させること。木暮の計画はいずれも沢田に察知されていた。残る手段は唯一つ、木暮は厳重な警戒網を突破して、日進コンツェルンの松井会長(志村喬)の室に忍び。三百六億一千四百万円を調べる。この数字が太造だけの知る入札価格だった。七月十五日、入札がまさに行なわれようとした時、世間の風評を重視した政府から、指定業者八社による談合入札にせよ、との勧告が発せられた。この一片の通達により、木暮と沢田の夢は、はかなくも消え去る物語。梅宮と渡辺がガップリ四つに組んだ演技。1968年5月21日~31日豊橋東映、併映鶴田浩二「馬賊やくざ」。【サイズ:B2】【年代:1968年】