説明
バクチウチ ソウチョウトバク/脚本:笠原和夫。音楽:津島利章、殺陣 :谷明憲、進行主任は有名な並河正夫。監督山下耕作。任侠映画最盛期の中で傑作との声が高い。天竜一家総長の香川良介が亡くなり二代目跡目相続をめぐり天竜一家の兄弟分鶴田浩二・若山富三郎・名和宏のしがらみ。二代目を襲名した名和宏を利用して総長賭博のテラセン横取り佐々木孝丸の右翼に取り入りを諮る叔父貴金子信雄の陰謀に周囲が巻込まれてしまう。鶴田と桜町弘子が夫婦、藤純子が鶴田の妹で若山の妻。跡目襲名選択方法に納得のいかない若山が鶴田と兄弟分の盃を割って名和を襲い、瀕死の名和が襲名披露で意地を見せるが金子の代貸し沼田曜一に殺されるに及んで、筋目を通すために鶴田が若山を刺して、妹に人殺しと言われた鶴田が悪の根源の金子信雄から「おめえの任侠道はそんなものか」に対して「俺には任侠道はねえ、只の人殺し」といって殺す。各々の立場で義理と人情と夫婦のしがらみで任侠道でなく只の人殺しと言う台詞ですべてのしがらみを斬る鶴田浩二。名和宏が一世一代の名演技、若山の子分三上真一郎、金子の悪代貸し沼田曜一、藤純子と桜町弘子もいい演技。襲名披露の取持人の口上は曽我廼家明蝶、横に原健策。原健策・堀正夫・香川良介など往年の時代劇バイプレイヤーが顔を出す。桜町弘子の名演技が特に印象的で芯が強く控えめでしかも三上真一郎を若山に引き渡した事の責任を取って自害するという筋目を通す役処は時代劇女優の面目躍如。この作品は四方しがらみの逃げ場のない博徒の世界を役者陣の名演技で構成された悲劇。1968年1月14日〜26日豊橋東映、併映「日本暗黒史 情無用」【サイズ:B2】【年代:1968】