説明
バクチウチガイデン/脚本:野上龍雄。監督:山下耕作。任侠映画末期のラストオールスター作品。九州が舞台、睦会の辰己柳太郎親分の還暦引退で跡目相続をめぐる骨肉の争いに発展する。鶴田浩二と高倉健が兄弟分。辰己の代貸しが高倉と若山富三郎で兄弟分。菅原文太が鶴田の弟。跡目指名された大室組の若山富三郎・松方弘樹一家は力で支配に対して義理に厚い江川組の鶴田浩二一家が対決するが胸沸き踊る空気もなく淡々と進む。睦会で人望厚い板挟みの若山の弟分である高倉健は辰己の実子であることが判り、本当は高倉に跡目を継がせたい辰己は敢て若山に跡目指名。高倉健は筋目と義理と情で板挟みとなり自腹斬りで鶴田浩二のやるせない殴り込みも然りで情念というか盛り上がってくるものが薄い。足の悪い松方一人が渡世の作法を越えて若山に殉じて若山親分を立てる事に専念。結果鶴田が若山一家に殴り込んで迎え討つが、松方は槍を持ったままあえなく鶴田に斬られラストは鶴田と若山の一騎打ちであっさり鶴田が勝ってエンド。この頃の山下耕作のアクションはストップモーションや殺陣が少ないのが特徴なので盛り上がり不足は否めない。浜木綿子が侠気の馬賊芸者で将棋が強く鶴田に惚れる押し掛け女房、昔なら南田洋子の役柄。出演者は全て九州弁の科白だが鶴田・高倉の任侠慕情と若山・松方の主従を超えての愛が注目される山下演出となるがオールスターでないと客が入らなくなった。1972年7月30日〜8月10日豊橋東映、併映「夜の女狩り」。【サイズ:B2】【年代:1972】