説明
チュウシングラ/製作:藤本真澄・田中友幸・稲垣浩。脚本:八住利雄。美術:植田寛。殺陣:久世竜。音楽:伊福部昭。監督:稲垣浩。東宝創立30周年記念映画として東宝映画・演劇・歌舞伎オールスターによる忠臣蔵で「花の巻」「雪の巻」の2部作206分。序列は松本幸四郎トップでトメが三船敏郎。大石は松本幸四郎が1954年松竹版に続いて二度目の登場、原節子が大石の妻りく、俵星玄蕃に三船敏郎、浅野内匠頭に加山雄三、吉良上野介には市川中車、堀部安兵衛が三橋達也、岡野に夏木陽介、特に討入りでは屋敷内で蝋燭をかけて灯りにする場面や寺坂吉右衛門(加東大介)の見せ場を見せたり三船敏郎の俵星玄蕃を強調するのが東映版との違い。寺坂は病を押して仇討ちへ向かうが途中で息絶えるし宝田明と池内は仇討ちの夜に心中、森繁久弥の東海道興津宿の旅籠主人の描き方が東映版とは異なる魅力で新解釈、討入りの際大石の山鹿流陣太鼓は叩かずに蝋燭の灯りで暗闇を明るくする浪士達の動きや池の氷で滑ったりするリアル。殺陣では清水一学の戸上城太郎が二刀流で浪士と闘う場面が長く稲垣監督ご贔屓俳優の印象、三船の俵星が仁王立ちはニン。東映版や大映版より女優陣が豊富な印象で逆に男優は東映がやはり揃う。タイトルは松屏風を背景に伊福部昭音楽が流れるが重厚さが引き立つ。稲垣浩監督は戦前日活に続いて二度目のオールスター忠臣蔵を演出。1962年11月23日〜12月7日豊橋東宝、併映「大いなる黒部」。この作品以降、忠臣蔵映画は日本映画の衰退期とも重なって1978年東映での「赤穂城断絶」まで26年のブランクを迎える。【サイズ:B2】【年代:1962】