丹下左膳 乾雲坤竜の巻

大友柳太朗/東千代之介、近衛十四郎、久保菜穂子、桜町弘子、筑波久子、花沢徳衛、山茶花究、菅貫太郎、明石潮、神田隆、南広

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説明

タンゲサゼンケンウンコンリュウノマキ/原作:林不忘。脚本:石堂淑朗。音楽:鏑木創。監督:加藤泰。大友柳太朗主演の丹下左膳シリーズ5作目にして大友左膳の最終作。脚本にヌーベルバーグ派石堂淑朗を起用して加藤泰監督が会社から「典型的な丹下左膳映画を」と言われて撮った加藤泰式リアリズム左膳。興行は歴史的な大コケで、豊橋でも4日間で打ち切り、セカンド上映館の銀座東映では7日間上映。現在観れば市井の人々の活き活きした様子や武家社会の理不尽さなど原作本来のメッセージが入り、嘗て大河内傅次郎左膳でもあった「おめでたいぞよ!丹下左膳」が映える出来具合で面白い。当時の東映時代劇からは、明るく楽しい時代劇とは遠く離れた受入れし難い暗さと内容だった。東宝の「用心棒」「椿三十郎」に攫われた1962年の東映時代劇は、急落する人気からギャング路線への端境期だった。小野塚鉄斎(明石潮)道場に忍びこんだ丹下左膳は、名刀乾雲を奪って逃走。鉄斎は左膳の一刀を浴びて重傷、左膳も右眼を傷つく。鉄斎の娘弥生(桜町弘子)は父の高弟諏訪栄三郎(菅貫太郎)を頼りなしとして、自力で仇討ちを誓う。相馬藩主中村大膳(花沢徳衛)は、古刀集めに異常なまでに執念。家臣の丹下左膳を脱藩させ小野塚道場へ忍びこませた結果。左膳が乾雲しか奪えなかったことを知った大膳は、渡辺三郎(南広)とその門下を呼び寄せ鉄斎道場を襲わせる。相馬藩の動きを隠密蒲生泰軒(神田隆)から知った南町奉行大岡越前守(近衛十四郎)は、相馬藩士を捕えて一騒動越すより、左膳一人を捕えて全てをおっ被せようと、もみ消しを計画。一方で直参旗本鈴川源十郎(山茶花究)は、スリのお藤(久保菜穂子)や鼓の与吉(東千代之介)を使って刀を奪い一儲けを企む。お藤は左膳に惹かれていく。左膳は、渡辺一門の江戸出府を知って鉄斎道場に殴り込む。坤竜を奪ったものの、左膳は弥生の短刀に右腕を刺され、越前守輩下に捕われた。坤竜は与吉から大膳に渡された。左膳は大膳の裏切りによって斬首と決ったその晩、お藤と与吉によって牢から救出。左膳の右手はくさっていたため、与吉に依って切断され左膳は片眼片腕となる。左膳は名刀二振りを大膳から奪い返し、鉄斎の位牌に捧げることを誓う。左膳は弥生に恋しているのを知ったお藤は大膳の屋敷に忍び込み、乾雲坤竜を盗まんとしたが、捕えられた。与吉から聞いた左膳はお藤救出に与吉と共に大膳上屋敷に乗り込みチャンバラ。左膳は刀とお藤を取り返し、刀は弥生に届けられ、左膳はお藤と与吉と共に江戸を去る。千代之介の「へらへらへってのへらへらへ」の台詞が印象的。1962年4月19日~21日豊橋第一東映、併映 品川隆二「壁の中の美女」。1962年7月4日~10日銀座東映、併映「民謡の旅おてもやん」。【サイズ:東映ポスター写真】【年代:1962年】