説明
グレートハンティング/脚本:マリオ・モッラ。製作・脚本・監督:アントニオ・クリマーティ。音楽:カルロ・サヴィーナ。主題歌:アンコ・リン。1970年代に流行したオカルト・パニック映画に並んで観客を驚かせた、動物対人間、動物対動物の熾烈な戦いをテーマにアフリカ、アジア、ヨーロッパなど四年間に渡って世界中をロケした長編記録映画。ライオンが人間を食い殺す映像が話題を呼んだ。1975年2月18日、アフリカのアンゴラにある自然動物保護区。三台の自動車に分乗した観光客の一行は、寝そべっていた数頭のライオンの前で停車。先頭車のピット・デーニッツが16ミリカメラを持って下車、カメラをまわしながらライオンに近づいたとき、背後に隠れていた一頭のライオンがピットに襲いかかる。ねそべっていた二頭も起き上り、ピツトに喰いついた。車内ではピットの妻と二人の子供が泣き叫びながら、この惨劇を見つめる。このシーンを撮影したのは、一番後の車に乗っていたツーリストのカール・ゾーエンとレジー・コーエンで、ライオンとピットの争うさま、家族の驚愕の表情などをあますところなく撮られているが編集やカット割りなど「ヤラセ」の疑いも。 生きるための動物対動物の戦いは自然界の残酷なルール。オランウータンを襲う豹、小猿を毎日数匹も呑み込む六メートルもあるアマゾンの大蛇。そして人間もまた動物を喰う。オーストラリアの原住民はブーメランでコウモリを落とし槍でカンガルーを殺して食料としている。 アラスカのイヌイットたちは、いま生活の激変に驚いている。彼らは元来が狩猟民族だったのだが、石地が出たため、皆成金になってしまい、しかも生活の基盤だった猟が出来なくなってしまったためにウツ病にかかっている。精神科医の助言により、彼らは銃でケワタガモを射つ。その弾丸は毎時百六十万発、猟銃は四秒に一挺づつ造られている。アフリカでは毎年六千頭の象と百四十万頭のシマウマ、百六十万頭の野牛、六百五十万頭のカモシカが殺されている。食料のためだけでなく遊び。大ヒットして興収18億円、副題に「地上最後の残酷」。1976年3月20日~5月7日広小路スカラ座、併映「バギーチェイス」。【サイズ:B2】【年代:1976年】